妄想の中で朝を迎えたおばあちゃん
今朝のお話です。
いつものように部屋から「おかあさーん!」と呼ぶ声がしました。姑であるおばあちゃんはいつも私をそう呼びます。自分の母と勘違いしているわけではなく、同居して以来の孫目線での呼び方です。
この呼び方で今のご機嫌がわかるのですが、今日は何だか怒っているようです。
部屋に行き、カーテンと窓を開けて、いつものようににっこりと「おばあちゃん、おはようございます。」と言いました。すると「おはようじゃない!!」といきなり怒ってきましたので「あら。どうしましたかあ?」と間延びしてゆっくり尋ねました。
いきなり怒っている時はたいてい妄想の中で怒っていますので、『あら、私、何も気づきませんでした。ごめんなさいねえ。』というスタンスで対応するようにしています。
「知らない人が家の中に何人も入って来たから(私を)何べんも呼んだのに来なかった!」と怒っていたのです。おばあちゃんにとっては妄想も現実のうちですので、「あらあ。それは大変!申し訳なかったですねえ。」などと相づちを打ちながら話を聞いていると、次第に落ち着いてきました。
おばあちゃんは今長崎県に住んでいますが、岩手県花巻市の出身です。宮沢賢治さんに会ったこともあるという羨ましい過去を持っています。今では話をすることも少なくなりましたが、話す時は、結婚後長年暮らした東京の話は一切出ず、決まって花巻の話ばかりです。
今朝のお話の中にも、花巻から来たという人が三人登場しました。その三人は、何かの選挙に長崎で立候補したそうです。そして、話(演説?)をしているので聞きに行こうと思ったのに(私に連れて行ってもらえず)一人では行けなかったので残念だったそうです。その三人は、家に入って来た数人の中にも入っていたとのことでした。
妄想して幻覚が見える、ということなのでしょうか。朝、私が部屋に入った時にはまだ数人が残っていたらしく、「そこに居るじゃない!」とおばあちゃんがさかんに指をさします。・・・誰かいるの~(;’∀’)・・・ゾワゾワ(寒)
これまでも、妄想は度々ありましたし、そこに人が・・・と指さすこともありましたが、こんなに悪寒を覚えたのは初めてでした!『おばあちゃん大丈夫かなあ・・・だれか”お迎え”にでも来たのかなあ・・・』ゾワゾワ(”_”) 珍しく情緒不安定に陥った私は、まだ朝食に降りてこない娘をわざわざ起こしに、二階の部屋まで駆け上がりました。
妄想の中に居る時、おばあちゃんは俄然元気になります。それは以前から感じていました。思い込みというものは、眠っていた力を呼び覚ますようです。火事場の馬鹿力とは、このようなものなのかと思います。急にシャキッと歩いたり、食欲が復活したり。そんな時は、脱走(走りはしませんが)にも用心する必要があります。
今日のところは、朝ごはんをしっかり食べたあと、話を聞きながら伸びていた爪を切ってあげているうちに落ち着いたようでした。今はソファーでぐっすりお昼寝中です。夜中もずっと誰かとお話ししていたので睡眠不足なのでしょう。眠っているうちは平和・・・子育ての時と同じねえ・・・とよく思います。