延命治療その2~人工栄養

延命治療の選択ふたたび

いつの間にか誤嚥性肺炎を起こしていたおばあちゃんが、低酸素血症で緊急入院。その時は、人工呼吸器を着ける延命治療について考えさせられました。

そこから強靭な生命力で回復し、人工呼吸器をつけずに済んだおばあちゃんでしたが、このたび新たに瀕した危機は、食事を取らない・取れないことによる栄養失調の危機。そして迫られたのが、人工栄養による延命治療をするかどうかの選択でした。

人工栄養は、鼻から胃へチューブを挿入して栄養を送る経鼻胃管栄養法、心臓に近い太い血管である中心静脈から血液中に栄養を投与する中心静脈カテーテル、そして胃ろうを造設する方法があります。胃ろうとは、胃壁と腹壁に小さな穴をあけて管(カテーテル)を取りつけて、外から直接、胃に栄養を注入する方法です。

さて、どうするか。

まず、延命治療をするかどうか。もし何らかの延命治療をするとして、全てにおいて「管」があり、認知症のおばあちゃんが引き抜こうとするのは目に見えています。実際これまでの入院履歴でも、様々ひき抜いてはミトンをはめられました。(事前に家族の了承を得られます)そんなことで大丈夫なのでしょうか。

また、夫はもともと、人は動物としてエサを摂れなくなったら御終いだとの考えを持っていました。食事を取れなくなった時は、すなわち寿命という事だと。それは、いつかの新聞記事にあった古来の人の寿命をさしています。その記事を読んだ時には、夫婦二人とも、自分たちはこれでいいね、チューブを付けて苦しい思いをしてまで生きていたくない、延命治療は要らないと子ども達にも言っておこう、と話したものでした。

が、「母のこと」となると、やはり、そう割りきれるものでは無かったようです。認知症が進み普通の会話も覚束ない状況ですが、それは入院前もそうでしたし、食事を取れないものの一見、生命の危機に瀕しているように見えないのです。

日によっては会話ができ、笑う事もある。それなのに、栄養が取れないからもういですとはとても言えない。

それが夫の出した結論でした。ただ、延命治療をするとして、経鼻胃管はいかにも苦しそうなイメージですし、中心静脈カテーテルは一番ひき抜き易そうで危険な感じです。何となく胃ろうが安全そうですが、90歳を過ぎて胃ろうを造るのはどうなのか。

つまり、全てが「わからない」のです。どの方法が良いのか、胃ろうの造設は90歳の高齢でも安全なのか、造った後の生活はどうなるのか、どちらにしても本人にとって幸せなのか。

夫はあくまでも家で面倒を見たいと思っていましたので、我が家の状況でそれができるのかどうか等々。

結局、「もういいとは言えない」という結論のみをもって、お医者様との面談の日を迎えました。

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