認知症患者の暴言について考える

暴言とは、どんな言葉?

何を暴言と感じるかは、人それぞれの様な気がします。比較的平和な環境で人生を過ごしてきた人は「うるさい!」と怒鳴られればそれだけでも暴言と感じるでしょうし、「うるさい」と始終言われる環境で育った人はその程度なら平気でしょう。生まれ育った環境で、それぞれの感受性が異なるという事だと思います。

言われた人の心が傷ついたり、不快に思うのであれば、それは暴言なのだと思います。介護をしていると、そんな言葉をよく聞くことになります。

我が家でも「うるさい!」「バカ!」は、ご機嫌の悪い日にたまに聞きます。デイサービスでもよく言っているようです。妄想の中にある時は「人殺し!」「鬼!」「私を殺す気か!」などなど。相当ひどい介護をしているようです。

要介護2だった頃は、まだ今よりしっかりしていましたので、かえって暴言が心に応えました。実際に本心から言っているように聞こえるからです。一生懸命お世話をしているのに・・・と、悲しくなったものです。一般的には腹が立つようですが、私はもともと腹が立つより悲しくなるタイプなので、悲しくなりました。

今となっては認知症も進み妄想も多く、慣れたこともあり、仕方ないと全て聞き流すことができます。有り難いことに、人は慣れるものです。少し虚しくなりますが、悲しくなることはありません。

暴言で責められるほど、本当に酷い事をしているのであれば反省が必要ですが、ちゃんとお世話をしているのであれば、何も傷つく必要はないと思います。言われるたびに傷ついていては、心が疲れてしまいます。一日も早く慣れて、聞き流せるようになった方が良いと思います。

なぜ認知症の患者さんは暴言を吐くのでしょう。

我が家のおばあちゃんの場合は、何かしら不愉快でご機嫌が悪い時、思い通りにならない時、妄想に取りつかれている時に暴言が出ます。もともとの性格もありますが、認知症を患うことで、感情の制御が難しく、歯止めが利かなくなるようです。そうなると仕方がありません。「そうですか」と承り、そして、何かに怒っていたことを忘れるまで、そっとしておきます。しばらくすると本人も忘れますので、その後はこちらも普通に、努めて笑顔で接します。その繰り返しです。介護者の笑顔が、一番心を落ち着かせるような気がします。

認知症が進むと、過ぎた事は、ほぼ、すぐ忘れます。言った事も忘れます。暴言にいつまでも腹を立てていたり傷ついていても、言った本人は、なぜ介護者の機嫌が悪いのか分かりません。だから、やはり、こちらも全て忘れて接するのが良いと思います。感情のある人間ですから、なかなか難しい事ではありますが、その訓練といいますか、むやみに傷つかず、聞き流し、自分の心を無駄に疲れさせない訓練をするとよいのではないでしょうか。

心が疲れてしまったら、介護は本当に大変です。介護者の心を大切にする努力も、大切だと思います。

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