糖尿病の高齢者が認知症になると困ること

糖尿病のこと

我が家のおばあちゃんは、夫と結婚する前から糖尿病を患っていました。ひと月に一度、病院で検査を受け、薬とインスリンを処方してもらいます。同居する前、どの程度、糖尿病を意識した献立を用意されていたのか分かりませんが、おばあちゃんの口癖は「食べたい物が食べられないくらいなら死んだ方がマシ」でした。その為か、その頃の糖尿病手帳を見ると血糖値がかなり高く、インスリンの量がとても多かったのに驚きます。

同居後、実は、糖尿病を意識した献立は用意していません。というのも、我が家はもともと野菜多めの粗食なので、おそらくそれで問題ないだろうと考えていました。実際、同居してから血糖値は下がり、血液検査の結果は毎月「上等」とお墨付きをいただいていました。ただ、おやつが大好きなおばあちゃんですので、おやつをたっぷり食べた後の夜の血糖値はどうしても高くなり、夜のインスリン単位は多めでした。

認知症を発症する前から、同居後の我が家の方針は、おばあちゃんが望むように食べてもらい、あとはインスリンで調整するというものでした。歳も八十を超えていましたので、担当医の先生も同意されていました。これから糖尿病と長い付き合いをする若い人は、しっかり管理する必要があると思いますが、おばあちゃんの口癖は、お年寄りとしてはもっともな考えだと夫と話し合い、そのような方針となったわけです。

糖尿病患者が認知症になると困ること

我が家は元々そのような方針でしたので、おばあちゃんが認知症になっても、あまり困りませんでしたが、しっかり食事を管理されているご家族や、患者さんを預かられている施設の担当職員さんは大変だと思います。認知症の症状として記憶障害が初期から現れますので、まず食べた事を忘れます。攻撃的にもなりやすいため、「食べさせてもらえない」と介護者が責められることになります。本当に大変です。

我が家があまり困らなかったのは元々厳しく管理していなかったので、食べた事を忘れて「また食べる」と言えば、とりあえずまた食べてもらおう、と考える事ができたからです。すでに食が細くなっていますので、もう一度食べたところで血糖値が跳ね上がるほど食べませんし、我が家のメニュー自体低カロリーなので、そう神経質になる必要がないのです。

ただ、すでに食べたことは一応お伝えするようにしています。食事の時間にきちんと出していないとなると介護者の落ち度になりますので、怒るのが当然ということになってしまいます。きちんとお世話していますという自信を持った態度と笑顔で「さっき、みんなと一緒に食べましたけど・・・また、食べますか?」と言うと、気持ちが落ち着くようです。

「否定をしない」が原則ですが、きちんとお世話をしていることを伝えることも大切だと思います。

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コメント

  1. chacha より:

    初めまして。
    最初からずっと読ませていただきました。

    うちがまさに今この状態(糖尿病で認知症)で、薬の副作用で高血糖が続いています。
    間食をやめ、糖分を控えるよう病院から言われましたが、元から超甘党の義母はもちろんおやつなしではいられません。思うようにしないと気が済まない人です。まだインシュリン注射まではいかず、投薬で様子見でした。
    家にもお菓子やジュースは置かないようにしていました。
    が、私が仕事に出ている間、膝が悪くちょっと歩行困難なのにすぐ近くのコンビニに行き、好きなおやつを買い食べていました。
    話をしてもわかったと言うけれどまた同じで、そのうち食べたお菓子のゴミを隠すようになりました。

    このブログを読んでから食べたいのに我慢することが認知症に悪いのではないかと思うようになりました。
    ひどくなればインシュリンを使ってもらって、食べたいようにした方がストレスがなくなるのではないか、病院に相談してみようかと考えています。
    (ただ、もう自分では注射をする理解力はないので、私がすべて管理しなければならないと思うと気が引けていたのですが)
    ちなみに主人は単身赴任でデイ利用しながら私一人で初めて介護しています。

    介護しているうちに様々な問題が出てきてひとつひとつ大変な事が多いこの頃でしたが
    こちらのブログでちょっと前向きになれて、他の記事も、あー、うちもこうだったとか
    これから先、気をつけなければと思う注意点も教えていただき
    お礼を言いたくてコメントしました。

    ありがとうございました。

    • 谷村 薫子 より:

      chacha様 初めまして。
      私の拙い記事を読んでいただき、また、コメントを頂きまして、有難うございました。
      ご主人不在の中、一人で初めての介護を引き受けられたこと、その事にまず頭が下がります。
      コメントを拝読して、お義母様は、私の義母と似ていらっしゃるように感じました。おやつをめぐる攻防は、きっと我が家と同じ様相と拝察します。
      記事にも書きましたが、「認知症を発症した超甘党のお姑さん」におやつを禁じるのは至難の業です。我が家やchachaさんのお姑さんの様に、こっそりおやつを買いに行き、食べた証拠を隠す様になるなるのは、超甘党の人の本能として至極あたり前の成り行きとも思えます。おやつを無理に禁じることは、私の義母にとってストレスを与える以外の何物でもありませんでした。
      ストレスが認知症方の心の状態を悪化させる大きな原因になることを、介護生活の中で実感しました。同時に、ストレスのない穏やかな状態の時は、こちらの話を受け入れてもらえる事も実感しました。(悲しいかなどの状態も長続きはしないので、やはり介護には忍耐が必要なのですが)
      chachaさんもぜひ主治医の先生に相談されてみて下さい。
      一つ心配なのは、これから新たにインシュリンの「注射」を打つことを受け入れられるのかどうかですね。「痛いもの」ですので・・・。
      そういえば以前テレビで、注射ではないタイプのインシュリンの話をしていた気がします。何か良い手段が開発されていればいいですね。

      この度chachaさんよりコメントを頂き、何かと大変だった介護の経験が僅かでもどなたかのお役に立てたことが分かり、少し報われた気がしました。
      こちらこそお礼申し上げます。

      ありがとうございました。

  2. chacha より:

    お忙しい中、お返事をいただき恐縮です。
    進んだ認知症の方の介護の大変さは私の想像を越えるものがあった事とお察しいたします。

    そうなのです。これはうちの義母の事を書いたものではないかと思うほど一致する事が多く、何度も真剣に読ませていただきました。

    おやつについてはもうこちらの話は聞きませんし
    理由を説明しても多分わかっていないということがわかりました。
    次回の診察で相談してみようと思います。
    注射ではない方法がある事を期待して。

    糖尿病がなんとかひどくならないよういろいろ悩んでいたのですが
    こちらのブログにお邪魔して少し気負っていた自分の気持ちが楽になりました。

    これからのこともひとつひとつ参考にさせていただきます。
    どうもありがとうございました。

    • 谷村 薫子 より:

      chacha様 コメント有難うございました。
      糖尿病患者さんのお世話も、認知症を発症された少し難しいお姑さんの介護も、体験した者でなければ分からない悩みが色々あると思います。私の体験が少しでもお役に立てれば、本当に、幸いです。
      先が見えず気持ちが落ち込んでしまうこともありますので、時にはご自身を大切にいたわってあげてくださいね。
      こちらこそ、有難うございました。