「 認知症 」一覧

認知症介護~精神安定剤の功罪

精神安定剤は介護者の精神安定薬

認知症で糖尿病のおばちゃんが服用している数々の薬の中で、最も欠かせないものは精神安定剤です。

同居する前から服用していたのがD錠。心を落ち着かせ睡眠に導く薬として処方されています。最近得た情報によると、この薬は常用していると効き辛くなってくるようで、我が家のおばあちゃんも次第に量が増えていき、入院する前には、処方できるMAX量を服用していました。退院後は、一番少ない量での処方となりました。

認知症が進んでからの退院後、身体的な介護が増えましたが、徘徊の心配は殆どなくなり、「我がまま」も減りました。しかし一方で妄想・幻覚が増え、妄想の内容によっては攻撃的になることも増えてきました。

妄想は、あくまでも「妄想」です。介護者に何の落ち度がない場合でも攻撃されますので、よほどの精神修行を積んだ人でもない限り、平常心を保って対処するのはなかなか難しい事です。それが頻繁に起こるようになると、もうお手上げです。主治医の先生に相談して、精神安定剤を処方していただけないものかと相談することになるのです。凡人である私も例にもれず相談しました。すぐに処方してくださり、一安心して、早速翌日から服用を始めました。

お年寄りは、新しい薬を服用すると、一時的に身体の調子が悪くなることがあるようです。退院後、D錠を再開した時にも少し身体の動きが悪くなり心配しましたが、以前飲んでいたお薬なので大丈夫だろうとそのまま続けて服用し、程なく通常に戻りました。

今回のお薬は、認知症の同じような症状の人に処方される安定剤でしたが、D錠より強力だったようです。服用を始めたとたんに身体全体の動きが悪くなり、うつむくとよだれまで落ちる状況に陥りました。すぐに副作用だとわかりました。明らかに、今まで経験した副作用より悪い状態です。さすがにこのまま飲ませ続けるのは危険だと思い、服用を止めました。

最近たまたま新聞で目にした記事に、この薬についての記事が載っていました。

母親を介護していた方のお話でしたが、施設に入所されていた時にこの薬を服用されていたそうです。恐らく介護施設や病院でも、一般的に処方される薬なのでしょう。多人数で生活する場に於いて、それは致し方ない事だと思います。ただ、副作用に関して私が感じたことは実際に起こるようで、その方は、その副作用で、多少なりとも母親の命を縮めてしまったのではないかという後悔の念を持たれていたのでした。

この薬はひと月分処方されていましたので、当然余っています。服用は止めましたが、保管してあります。危険と判断した薬を捨てられずにいるのは、介護者にとって精神安定剤が最後の頼みの綱のような存在だからです。

介護していて一番大変だと思うのは、理由もなく責められ攻撃される時です。一生懸命お世話をしているのにと、悲しくなったり腹が立ったりと、恐らく介護者皆さんが感じられることだと思います。

感情のコントロールができなくなったり、妄想に取りつかれるのが、認知症という脳の病気に起因している事実を考えれば、薬を処方していただくことに罪悪感を持つ必要はないと思います。身体的な副作用は多少伴うようですので、本当に必要だと判断した時に飲んでもらうという形で良いのではないかと思います。

介護者の精神的安定のためにも、精神安定剤は必要なのです。上手に利用して、介護の助けになれば良いのではないかと思います。

 


認知症介護~「頻尿の薬」と「かゆみ止めの薬」の効果は?

「頻尿の薬」と「かゆみ止めの薬」

 

三か月の入院生活で認知症が進んだおばあちゃんは、以前にも増して思い込みや妄想が強くなりました。以前からトイレが近い方でしたが、退院後さらに頻繁にトイレに行きたいと訴えるようになりました。

五分前に用を足しても、すぐにまた行きたいと言います。そんな時は無駄足であることが多いのですが、次は大きい方かもしれませんので一応連れていかなければなりません。五分前の事は忘れていますので「さっき行きましたよ」と言っても不機嫌になるだけです。「寝る前に一応トイレに行っておく」という習慣を覚えていて、ベッドに連れて行ったあと2・3回これを繰り返すこともあります。行ったことを忘れていますので仕方ありません。

尿意を感じる脳のシステムがおかしくなっているのか、起きている間中ずっと五分おきに「トイレに行きたい」と呼ばれることがあり、そんな日にはぐったり疲れてしまいます。そんな事が次第に多くなり、さすがにどうにかならないものかと、糖尿病の主治医の先生に相談しました。

とても丁寧に診てくださる親切な先生でしたので、頻尿に効く薬を飲んでみましょうかと処方してくださいました。しかし残念なことに効果は無く、ひと月の処方で改善は諦めました。結局のところ、膀胱の問題ではなく脳の問題なのでしょう。五分おきのトイレコールに対しては、体力と気力に余裕のある時は極力つきあい、とても疲れている時は様子を見て時々聞こえなかったことにして対処する事にしました。(おばあちゃん、ごめんなさいね)

頻尿と並んでもう一つ、悩まされているのが「痒み」の訴えです。

デイサービスでお風呂に入れてもらうのですが、帰ってから「背中が痒い」と頻繁に訴えるようになりました。しかも、昼間のことは既に忘れていますので「何日も風呂に入ってないから痒い」「なんで風呂に入れてもらえないんだ」と怒り出すことすらあります。

お風呂に入って肌が乾燥するのかもしれないと、入浴後に保湿ローションを塗ってもらうようにしましたが効果がありません。仕方がないので、訴えがひどい時は市販のかゆみ止めを背中に塗ります。刺激のあるタイプの塗り薬はスース―として気持ちが良いらしいのですが、たっぷり塗っているとこちらの目がチカチカしてきます。こんなに塗って大丈夫だろうかと心配になりながらも、おばあちゃんの満足第一でとりあえず塗ります。

湿疹やかぶれ・虫刺されもないのですが、痒みが妄想に発展し、寝室に虫がいっぱいいると言い始めました。さすがに参り、再び主治医の先生に相談して、かゆみ止めの頓服薬を処方していただきました。

これは効果を発揮しました。その後も時々痒みの訴えはあったものの頻度は激減し、デイサービスでも落ち着いて過ごすようになったとの報告がありました。

不要な薬はなるべく飲まない方が良いとは思いますが、このかゆみ止めは必需品となりました。


認知症介護~認知症患者のかかりつけ医選び2

認知症患者が外来で病院へ行くという事

我が家のおばあちゃんは糖尿病ですので、月に一度病院で受診し、薬とインスリンを処方してもらわないといけません。引っ越してきて数年は総合病院に通っていましたが、長い待ち時間が体力的に厳しくなり、糖尿病の専門医にかかりつけ医を変更しました。

この専門医の個人病院は比較的新しい病院で、小さいながら設備が整っていました。小ぢんまりとしていますので、待合室から診察室、トイレにも近く、三つもあるトイレは車椅子対応の広さで自動ドアになっています。介添えで一緒に入っても十分な広さですので、検尿の介添えも楽にできます。利用したことはありませんでしたがジムのような体操室があり、生活習慣病予防のプログラムなども行われているようでした。

この病院に通い始めた頃、おばあちゃんの認知症はまだ軽く、普通に待合室で順番を待つことができていました。総合病院より待合室も快適で、頻繁にトイレに行きたがるおばあちゃんにとってはトイレが近くて便利でした。(この頃はトイレも一人で行っていたのだなあ・・と、今しみじみ思い出されます。)

しばらく通ううちに、おばあちゃんは軽いくも膜下出血を起こして入院することになりました。この後、約三か月の入院ののち退院しましたが、身体能力が低下し認知症も進み、要介護度は2から4に上がっていました。それでも身体を支えて歩けるようにまで回復しましたので、月に一度の通院はできました。待合室でかろうじて待つこともできましたが、調子が悪い時はベッドを貸してくださいました。

更に悪くなったのはこの数か月後、圧迫骨折により寝たきりとなってからです。しかしこの時も我が家のおばあちゃんは驚異の回復を見せ、ひと月の寝たきり後、徐々に回復し、支えれば歩けるようになりました。この時は、リクライニングできる車椅子をレンタルしており、その車椅子に乗せて受診しました。待合室でも、車椅子に寝たまま待っていられるので非常に重宝しました。ひと月ごとの受診ですので、先生や看護師さんには行く度に回復している印象だったようです。ただ、自宅でも横になっていることが多くなりましたので、待合室で待つことが難しくなり、必ずベッドを貸していただくようになりました。

身体的には回復していきましたが、認知症の方は残念ながら進んでいきました。妄想に取りつかれている日もあれば攻撃的な日もあります。認知症というものは、感情をコントロールするという作業を脳がやめてしまうようです。

受診すると血圧測定と血液検査がありますが、この検査を拒否したり、ひどい時には看護師さんに暴言や暴力をふるおうとしたりするようになりました。診察までの時間が待てなくなり、「家に帰る」と言い出しては暴言、一人では歩けないのにベッドから降りようとしたりと、先生も見かねて先に診てくださったこともありました。

まず、家から病院に連れ出すまでにも拒否され、ひと苦労していました。そうしてやっとたどり着いた病院でもその有様です。看護師さんや先生にもご迷惑をかけ、付き添いとしてもさすがに限界で、再びかかりつけ医を変えることにしました。

認知症が進んだ患者さんを外来に連れて行くのは本当に大変です。診察の順番を待つことが難しいのです。我が家は有り難い事に、家の隣が開業医です。好き嫌いの多いおばあちゃんの意向で別の病院に通っていましたが、今となってはもうその「好き嫌い」を忘れたらしく、すんなりと受診してくれました。お隣なので待合の空いた時に車椅子を押して連れていき、診察が終わるとすぐ夫に連れて帰ってもらいます。今までの苦労は何だったのかと思うほど楽になりました。

総合病院が安心、糖尿病の専門の方が良いと、以前は病気治療を中心に病院を決めていました。それは当然で大切な事なのですが、認知症の患者さんを通院させるには、受診の順番まで「待てる病院」であることがとても重要であることがわかりました。