車椅子の進化に驚く
介護を始めるまで、車椅子を押した経験がほとんど無かったという人が多いかもしれません。
私も少しだけ押したことはありましたが、日常的に使うのは初めてでした。我が家に車椅子がやってきたのは、おばあちゃんがくも膜下出血で入院して約三か月後に退院した時でした。自力で歩くことができませんでしたので、車椅子をレンタルしました。介護保険を利用して自己負担月400円で借りることができます。
以前に押したことのあった車椅子は病院に備え付けのもので、しっかりした造りの重みのあるものでした。レンタルした車椅子はそれよりもかなり軽量化されており、折り畳みも簡単です。育児をしていた頃の大きなA型ベビーカーとコンパクトに畳めるB型ベビーカーのような違いです。それだけでも十分その進化に感心しました。
しかし、車椅子の本当の進化に遭遇したのは、おばあちゃんが圧迫骨折で寝たきりとなり、リクライニングできる車椅子をレンタルした時でした。車椅子に座れなくなったことを相談した時、ケアマネージャーさんにそのような車椅子がある事を教えて頂き、借りることに決めました。すぐに介護用品レンタル業者さんに手配して頂き、業者さんはベッドの時と同様の迅速さで交換に来て下さいました。
そして組み立てられた車椅子(そもそも組み立てられること自体がハイテクの証)は、ほとんど180度に近いくらいリクライニングができます。リクライニングとは背もたれ部分が倒れる機能ですが、この車椅子はシート・背もたれ・足のせ部分の角度を保ったまま、それらの部分まとめて角度を変える(倒す)こともできます。ティルト操作というそうです。これは身体の具合を悪くして車椅子に乗っている人にとって、かなり楽で有り難い機能だと思います。
普通の車椅子に比べて横幅はやや広く、あれこれと機能が充実しているぶん重量があるのですが、パーツを取り外して畳んで車に積むこともできます。ヘッドサポート(枕)アームサポート(ひじ掛け)フットサポート(足のせ)はすべて高さの調節が可能で、まさに至れり尽くせりの機能満載です。これだけの機能が付いて月800円でレンタルできます。
普通の車椅子に比べてシートに厚みがありますので、ベッド代わりにしばらく寝ていても大丈夫です。我が家のおばあちゃんは糖尿病ですので月に一度検診のため受診しますが、そんな時にも活躍しました。車椅子ですが、まるで担架みたいに寝たままで連れて行けるので楽ちんです。楽ちんですが、圧迫骨折の二回目の外来で整形外科に行った時は待合室で注目の的となり、押している方は少々恥ずかしい思いをしました。
しかし、この車椅子のおかげでおばあちゃんはデイサービスを再開し、寝たきりから脱することとなるのです。