物盗られ妄想には、周りのフォローが大切
実の親や舅、姑から、物を盗んだと言われればショックです。本人は、そんなことはしていないと言うしかありませんので、周りのフォローが大切です。冷静に、優しく、その人は盗んでいないと思う事と、見当たらない物を一緒に探すお手伝いする事を伝えなければなりません。盗まれたと言っているその時は、怒っている状態です。まずは、怒りを鎮めることが先決です。
認知症の困った症状が出る時は、何かしら、怒りの感情を抱えているようです。それは、ほとんどの場合、妄想からきた見当違いの濡れ衣ですので、怒りをぶつけられれば、腹も立ちます。しかし、そこは、我慢しなければ事態がますます悪化するのです。そこが、認知症の人と接する上で、最も難しく、忍耐力の居る所だと思います。
物を盗られたという場合は、盗ったと疑われていない人が、「(その人が盗んだのとは)違うと思いますけどねえ・・・どこに行ったんでしょうねえ・・・探しましょうねえ・・・」と、あくまでも、気持ちを落ち着けることを目標に対処するしかないようです。気持ちが落ち着いてきたら、また今度探しましょうねとしめくくり、別の話題を出すなり、お茶にするなり、気持ちを他に持っていきましょう。
物盗られ妄想は、いつか収束します。我が家の場合、初期にしばらく続きましたが、いつの間にかおさまりました。その後しばらくして、軽い脳出血で入院しましたので、そこで途切れたのかもしれません。
同じ話を繰り返す時は、笑顔であいづちを打ちましょう
初期のころから、同じ話を繰り返すようにもなります。さっき話したことを忘れるのです。こんな時も、辛抱強く相槌をうってあげてください。本人としては、その都度、初めて話しているのですから。疲れているときなどは、イライラすることもあるでしょう。しかし、怒ることは、やはり、症状を悪化させるだけです。自分のためにも、我慢した方が良いのです。
また、同じことを何度も質問してきます。この場合、紙に書くことをお勧めします。何事も、紙に書いて貼っておくと良いです。
認知症の初期は、戸惑うことの連続です。慣れていないので、腹が立つことも多いでしょう。そこは、しょうがない、しょうがないと、自分に言い聞かせ、忍耐力を総動員してやり過ごしてください。「否定する」「怒る」ことが、事態を悪化させます。「同意する」「笑顔」が、介護を楽にします。