トイレ通いがリハビリとなる
三か月にわたる入院で、すっかり認知症が進んだおばあちゃんが退院することになりました。年末の忙しい時と重なり、日ごろ前向きな私でも、不安を抱えてその日を迎えました。
入院前は、要介護2。会話もし、トイレは自分で行きました。時々失敗はあるものの、普通の下着を身に着けていました。しかし入院を機に、会話はあまりしなくなり、下着はリハビリパンツに変わりました。リハビリパンツに関しては、入院という機会がないと、なかなか日常生活の中では変えにくいと思いますので、良いきっかけだったかもしれません。
さて、自宅での生活が始まりました。一人では歩けませんので、常に誰かが傍にいてトイレに連れていく必要があります。本人が自分の部屋で寝ると言う時以外は、リビングのソファーで過ごしてもらいました。
入院前から、トイレの回数が多い方でした。車で遠出した際も、頻繁にトイレ休憩が必要でした。恐らく、心配だから取りえず行っておこうとして頻尿になっていたのでしょう。お年寄りに良くあることのようです。入院中も、まだ上手く歩けないのに何度も一人でトイレに行こうとしたらしく、おばあちゃんのベッドの下にはセンサー付きのマットが敷かれていました。踏むとナースセンターで音が鳴るシステムです。くも膜下出血ではじめに入院した病院では、一人でトイレに行くのは到底無理でしたので、頻繁にナースコールをしていたようです。看護師さんのお仕事はとても忙しく重労働だと思うのですが、更に頻繁に御手数をおかけして、本当に申し訳ないことでした。認知症の患者さんをお世話されている看護師さん達には、感謝の一言しかありません。
そのトイレ通いは、退院後も健在でした。何度も呼ばれては連れて行くことをくり返しました。何度も何度もトイレに通ううちに、歩行がしっかりしてきました。そうです。退院して、トイレ通いを繰り返すことが、我が家のおばあちゃんにとっては、何よりのリハビリになったのです。
認知症を発症する前から、マイペースを貫くタイプのおばあちゃんは、リハビリの為に転院した病院で、リハビリを断固拒否していました。認知症が進み、マイペースぶりに拍車がかかったようです。認知症が進むばかりでリハビリもできないので退院したわけですが、結局それで良かったようでした。
とはいえ、二か月ほどその病院にはお世話になり、おばあちゃんの気が向いた時にはリハビリをしていただき、体調も管理し整えて頂きました。気が向かない時には、暴言などもあったようで申し訳ないことでしたが、よくお世話をしていただき、やはり感謝あるのみです。ありがとうございました。