認知症介護~高齢者のかかりつけ医選び 1

おばあちゃんの病院遍歴

我が家のおばあちゃんは糖尿病です。糖尿病の患者さんは、ひと月に一度病院へ行き診察を受け薬やインスリンを処方してもらいます。

夫の両親は老後を一人息子夫婦の近くで送るべく、長年住んだ東京を離れ長崎に引っ越して来ました。かかりつけ医も決める必要があります。はじめは総合病院を選びました。歳を取ると色々と疾患が出てくる可能性がありますので、何かあった時すぐに対応できるようにとの考えからでした。

実際、糖尿病の検診に加えて、定期的にいろいろな検査をしてもらえるので安心でした。認知症が疑われた時も相談するとすぐに対処し、薬を処方していただけるようになりました。引っ越しからこの時点まで、八年ほどはこの総合病院に通院していました。初めのうちはお医者様とのやり取りも自分でできましたので介添え無しでも大丈夫でした。しかし、認知症を発症した頃からは話す内容が不確実になり、診察室の中にも付き添いが必要になりました。

そのうちに待合室で長時間待つことが大変になったらしく、長椅子にごろりと横になってしまうようになりました。認知症を発症して人目も気にならなくなったかもしれません。とはいえ他の患者さんもいらっしゃいますし、高齢となって二時間近く座って待つのは実際に大変なことです。そこで、時間のかかる総合病院から、糖尿病専門の開業医にかかりつけを変えることにしました。この頃の認知症はまだ初期の段階でしたので、単に体力的な問題でした。

新しくかかった糖尿病専門医は予約制でした。しかし血液検査などの関係でやはり少なくとも一時間はかかります。丁寧に看てくださる先生でしたので患者さんも多く、結局二時間近くかかることもしばしばでした。ただ、こぢんまりと設備が整っているためトイレに行くのも診察を待つのも楽でした。いったん寝たきりになって以降は、患者用のベッドを利用して待たせていただけましたので大変助かりました。かかりつけを変更した甲斐がありました。

認知症患者の通院の大変さはこの後本格化していきますが、認知症にならずとも高齢者の通院は大変です。本人の体力的な問題はもちろん、お世話をする人の送迎や介添えも必要になってきます。今思えばこの「病院の送迎」が「介護」の入口だったような気がします。

誰もが歳を取り、やがて身体のあちらこちらに支障が出て病院通いが始まります。それは仕方のないことで、長生きすれば殆どの人が通る道でしょう。いずれ自分も誰かのお世話になるのでしょうが、なるべく自立していられるように健康で丈夫でありたいと、介護を通してしみじみと思います。


認知症介護~寝たきりからの脱却・デイサービスの「訓練」

デイサービスでの訓練の成果

圧迫骨折によって寝たきりになってしまった我が家のおばあちゃんは、ハイテク車椅子に乗ってデイサービスを再開しました。痛みが引いたところで、お風呂に入れてもらう為、そして介護者の休息の為です。施設の送迎車に、横になったまま車椅子ごと乗せられてデイサービスに出掛けた日は、本当にほっとしたものです。ひと月ぶりの休息でした。

寝たきりになってからというもの、おばあちゃんの食欲は落ち、このまま弱っていくのではないかと心配していました。ところがデイサービスを再開すると、おばあちゃんはどんどん元気を回復していきました。

デイサービスで過ごす様子は、市町村で配布される『連携ノート』というファイルに、その日のデイサービスで受けた訓練や食事、入浴、排せつや歩行の介助など細かく報告されます。ひと月に一度、体重測定もあります。食事は何パーセント食べたかの記載がありますので、その日の食欲もわかります。食事は施設内で調理され、利用者の様々なニーズに応えて刻みやとろみなど対応してくれます。利用者を飽きさせない日替わりのレクリエーションも工夫され、まさに至れり尽くせりです。

そのノートの報告からも、食欲が徐々に回復し、おばあちゃんの状態に合わせて訓練をしていただいたことが分かりました。そしてデイサービスの回数を重ねるにつれおばあちゃんはどんどん回復し、遂には立てるようになったのです。施設の介護師さんたちもビックリの回復ぶりでした。

このミラクルな回復には、いくつかの理由があると思います。

まず、自宅で寝たきりの場合どうしても刺激に乏しく、気持ちの変化すら起こりにくい環境です。ところがデイサービスに行くと施設で何人もの人に会い、介護師さんに話しかけてもらい、我が家より美味しい昼食を食べさせてもらいます。それだけでも大いに刺激を受けます。刺激を受けるのはとても良い事らしく、明らかにおばあちゃんの表情に変化が現れてきました。過ごす場所を変える事がおばあちゃんの心持にも変化をもたらし、それが理由の一つになったと考えられます。

そして何より効果を上げたのが、訓練だと思います。

施設には看護師や理学療法士の方がいらっしゃいますので、安心して訓練をお任せできます。自宅で寝たきりの場合、素人に本格的な訓練は出来ません。少しづつ何かしらの訓練はできるかもしれませんが、介護者が根気強く訓練する余裕は中々ありません。我が家の場合も、自宅に居るかぎり寝たきりだったことでしょう。そう考えると、デイサービスを再開して本当に良かったと思います。

寝たきりの時は、介護者のペースで介護できるという都合の良い部分もありましたが、「弄便」の問題に悩まされました。寝たきりから回復し取りあえず立ち上がれるようになると、車椅子でトイレまで連れて行き、そこで用を足してもらうことができます。手すりに掴まって立っていてもらい、拭くこともできます。これで「弄便」の問題から見事に解放されました。

介護には色々な段階があると思いますが、寝たきりはやはり大変でした。本人も辛いと思います。「寝たきりにさせない介護」という標語のようなものを見たことがありますが、本当にそうした方が良いと思います。

デイサービスという仕組みがあり、スタッフの皆さまにお世話になり訓練していただき、寝たきりから回復することができて、本当にありがたい限りです。

 

 

 


認知症介護~「寝たきりのまま」デイサービス

ハイテク車椅子でデイサービス再開

圧迫骨折で寝たきりとなったおばあちゃんですが、痛みが取れてきたところでデイサービスを再開することにしました。

目的の一つはお風呂です。身体を拭いているとはいえ、やはりちゃんとお風呂に入れてあげたいところです。デイサービスでお世話になっている介護施設には特殊入浴の設備が整っており、車椅子に座ったままや横になったままで入浴させてもらえます。

そしてもう一つの大きな目的は、介護者の休息です。ひと月ほど寝たきり介護が続き、心身ともにとても疲れていました。我が家は夫も私も自営業ですので、時間の都合をつけやすく、日中もどちらかがおばあちゃんを看ることができます。そこでヘルパーさんは頼まず、大変な事態には夫に協力してもらいながら何とか介護を続けていました。しかし、休みなしの介護には限界があります。なんとかデイサービスを再開して、その時間だけでも休みたいと思いました。

さて、おばあちゃんですが、痛みが取れたからといって歩けるわけではありません。寝たきりのままです。どのようにしてデイサービスに通ったかというと、ハイテク車椅子の出番です。

その車椅子はほぼ180度リクライニングできますので、寝たままで移動ができます。また施設の送迎車も、車椅子をそのまま載せて固定できる機能が搭載されています。介護が現代で良かったとつくづく思います。車椅子と送迎車のハイテクぶりには、本当に感心します。

施設に行くにはまず車椅子に載せなければなりません。ベッドから車椅子に移す方法です。

大判バスタオルをおばあちゃんの下に敷き、頭側と足側に一人ずつ立ってバスタオルの両角を両手でしっかり掴みます。そして松嶋菜々子さん主演のTVドラマ『救命病棟24時』よろしく「1・2・3!」で車椅子に移すのです。おばあちゃんが小柄で良かったと思う瞬間です。介護をして初めて、バスタオルが担架になることを知りました。

このようにしておばあちゃんのデイサービス通いが再開しました。

くも膜下出血で入院する前はデイサービスに行くことを嫌がり、週に一回行くかどうか。退院後、要介護4になっても行くのを渋ることがしばしば。ところが寝たきりとなると有無を言わせず運ばれる形となり、介護者としては規則正しく休息が取れるようになりました。思いがけないオマケでした。