終末期医療の病院

胃ろうの造設を断念したおばあちゃんは、経鼻栄養を継続し、終末期医療の病院に転院することが決まりました。我が家のある長崎県大村市は、まだ土地に余裕があるためか、老人養護施設が次々に建設され、デイサービスやショートステイに対応できる施設がたくさんあります。入居できるホームも多い方ではないでしょうか。しかし、医的ケアが必要で、重度の認知症患者も受け入れてもらえる終末期医療の病院は、私の知るところ一軒です。そこは古くからある病院で、前身は精神科のみの病院だったと聞いていました。その患者さん達が病気や高齢化で入院が必要になった時に対応できるよう内科も併設したと、入院時の説明で伺いました。当然、入院待ちがあるのですが、重度の人は優先されるようで、おばあちゃんは程なくそこに入院できることになりました。

入院に際する手続きのため、転院前に夫と一緒に初めてその病院に足を踏み入れました。精神科の病棟は昔ながらの古いものでしたが、おばあちゃんが入院する病棟は比較的新しくきれいです。早速事務室で、お医者様からの説明とスタッフからの聞き取りがありました。お医者様は、そこが終末期医療の病院であり、延命治療をしないことを丁寧に説明されました。それは例えば、呼吸困難に陥ったとしても、救急車を呼んで救命することはないという事です。あくまでも、終末期に必要なケアをしつつ、穏やかに最期を迎えるための病院であると。その他のお医者様からの説明は、一般の病院と同じく、必要があればミトンなどを付けさせてもらう等、同意書にサインの必要な事柄でした。

胃ろうの造設の一件以来、夫は以前の考えを変えて延命治療を望み、その方向で動いてきましたが、それを断念せざるを得なくなり、考えは元に戻ったようでした。お医者様の話を納得しながら聞き、全ての項目にサインをしました。

その後、スタッフからの聞き取りが始まりました。それはおばあちゃんの生い立ちに始まり、趣味や特技など、詳しく聞かれます。おばあちゃとの会話の参考にされるのでしょう。そんなスタンスにも、非常に好感を持てました。聞き取りが終わると、病室やお風呂、食堂などを案内されましたが、どこも広々として清潔です。お風呂は二日に一度入れていただけるとのこと、ケアも行き届いていることに安心しました。

一連の手続きが終わり病院を後にする時、私の役割が終わるのだという実感が、少しづつ、ようやく現実味を帯びてきました。

☘スポンサーリンク☘

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする