「退院」は、施設入居か自宅介護かを選択する時

退院は、一つの節目

認知症の患者さんが病気やけがで入院して退院する時、それは家族にとって一つの選択の時です。断続的に自宅で介護していると中々きっかけがありませんが、いったん入院して介護がひと休みになると、介護者は、再び、そして更に大変な日々に戻ることへの恐怖のような感情が芽生えます。入院により、身体機能が低下していますし、認知症も進んでいます。実際、我が家のおばあちゃんも、入院前、要介護2だったのが要介護4に上がりました。認知症の症状で、お医者様や看護師さんにご迷惑をかけることも多々あったようです。退院を前に、担当のお医者様に、自宅で大丈夫ですか?と何度も尋ねられました。退院日が年末の忙しい時と重なったこともあり、日ごろ前向きなタイプの私でも、その日以降の事を考えると気が滅入りました。

その状況を受け入れられるかどうか。介護をする家庭では、よく話し合う必要があります。

施設入居か自宅介護か

大都市では、そもそも施設自体が不足しているため、先々の事を考えてあらかじめ入居を予約しておく事が多いようです。また、施設によって利用料もかなり違いますし、最も安い施設に入るとしてもやはり多少のお金はかかります。金銭的に厳しい家庭では、入居が難しい事情もあるでしょう。申し訳ないという気持ちから、親を入居させるのをためらう事もあります。結局のところ、施設入居にするかどうかは、入居可能な施設の有無と各家庭の事情次第ということです。自宅に、介護できる人手があり、介護する余力があり、介護することを望む場合は、自宅で介護されるのが良いと思います。しかし、実際のところ、介護は大変です。自宅で介護することを介護者として経験してしまうと、いずれ自分に介護が必要になれば、施設に入居させて欲しいものだと思います。介護者の立場の人は、どうやら皆そう思うようです。しかし実際に認知症を発症すると、その気持ちも忘れてしまい施設入居を嫌がるようですから、人の本能としては自宅に居たいのでしょうね。ただ、認知症は病気なのです。介護する人が限界を感じるのであれば、専門家にお任せするという事は、決して悪い事でも後ろめたい事でもありません。家庭の事情が許すのであれば、入居も良い選択だと思います。

介護者の人生もまた、大切な人生です。

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コメント

  1. 小谷美紀 より:

    全部ではありませんが、読ませていただきました。1時間、集中してしまいました(笑)

    認知症対応型デイで日々認知症の方々と笑っています。笑顔を増やすのが、私達の仕事。とにこやかに(なかなかそうならないときもありますが(笑))介護させていただいています。

    頷くことばかり、みんなそう!とか、うちの利用者さんのご家族も言ってる!という事が沢山出てきて楽しかったです。

    色々お話しできればと、コメントしました。

    よろしくお願いいたします。

    • 谷村 薫子 より:

      1時間も(!)読んでいただきまして有り難うございました(*^^*)
      「笑顔を増やすお仕事」、素敵ですね!利用者さん方はお幸せだと思います。
      私にとって「笑顔」は大切な相棒みたいなものです。これなくしては仕事も介護もできません。普通に生きるのもそうですね(笑)
      コメントいただいてとても嬉しかったです。励みになります。
      ボチボチですが少しずつ書いていく予定ですので、今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。